目が見えない人とバス

先日、帰宅途中のバス停で、杖を持って目を閉じた男性がいました。

歩きながら自然に見ていると、1台のバスを見送りました。

もう1台のバスがくると、近寄って扉付近に触って、また乗りません。

 

困っているのではないかと近づいて

「乗られますか?」と話しかけたものの返事が聞こえません。

もう一度「乗られますか?」と大きな声で話しかけると、

「●●番」とすごく細い声が聞こえました。

 

違うバスの番号だとわかったので「▲▲番です」というと、

「ありがとう」とまた小さく聞こえました。

 

その間、バスは止まったままでした。

私が歩き出すと運転手さんが「発車します」とアナウンスし、

入り口前を過ぎるとき「ありがとうございました」と笑顔を向けてくれました。

 

ただ、私はどこか引っかかっていました。その話を人にすると、

「バスには点字の案内とかないのかな」と言われハッとしました。

 

そういえばバスの車体に触っていた。

ネットで調べたところ「扉付近にバスの行く先を点字で案内すること」

といった文言がありました。

 

その方は点字を読んで、あえて乗らなかったのでしょう。

 

しかも私は、後から気づいたのです。その方に話しかけたとき、

自分がワイヤレスイヤホンで音楽をかけたままだったことを。

その方の声が小さく聞こえたのはそのせいでした。

 

大声で急に話しかけられて、その方はびっくりされたかもしれません。

 

周りからも親切に見えていた行動が、実は大迷惑だったという訳です。

気づいてないだけで、こんなこと他にもあるのかもしれませんね。

申し訳なく、ちょっとショックだった出来事でした。